一〇〇年前の世界一周

一〇〇年前の世界一周 の詳細

裕福な育ちのワルデマール君が、世界一周旅行に目覚めたのはあのジュール・ヴェルヌの「80日間世界一周」がリリースされて間もなくの頃だった。1905年、上級エリート公務員として、シュレージェン地方に赴任して4年くらい経過した頃だった。「いつ行くか」「今でしょ！」といったかどうかは知らないが、彼はドイツ・ブレーメンから西回りのルートで世界一周旅行へと旅立つ。で、50年後書いた回想録をもとにして、こんな素晴らしい写真集が出来上がった。岡崎氏の生き生きとした翻訳文が素晴らしい。一年半の世界一周旅行の終わり近く、彼は旅を振り返って、考える・・・・・・・・「・・・・・町やホテルにもヨーロッパ人の旅行者があふれていた。当然、私は彼らと接触を持つようになるのだが、どうしても彼らと、今まで旅の中で出会った人々を比較せざるを得なかった。日本では礼儀正しく、控えめで、偉大な文化をしめす簡素さを持ち合わせた人々に出会った。中国とインドでは貧素で、貧しさの中にあっても多くを要求することなく暮らす人々を知った。ジャワでは息苦しいような熱帯の植物ととけ合って、花のように存在する人々がいた。それに比べ、このヨーロッパ人たちの姿のなんと不自然なことだろう。」ガイドで親友となったナカノさん、九州・別府の芸者、17歳のコダマサンと15歳のヨボキチ・・・・やがて不幸な戦争があった。ワルデマールは、二人の若い芸者の安否を気遣う・・・・・・・今のアジアの国々は、日本も含め、何やってんだ。自国の国益も大事かもしれないけど、なんで、もっと隣人を見つめることをしないんだ。この素晴らしい反戦・平和の写真集を読んで、こんな単純なことを考えてしまった・・・・