リーダーの教養書 (News Picks Book)

リーダーの教養書 (News Picks Book) の詳細

どの推薦者も、自分が勧める本の紹介が卓越だ。それは、内容の要約がうまいとか、その本の価値の表現が巧みなのではない。推薦者の魂が揺さぶられた感動の余韻、自分が出会った強烈な教養書に導かれて迷い込んだ現時点での人生からの眺めが見事に伝わってくるところにある。 各本の紹介文は600文字と短いのに、各推薦者は、見事に各本のもつエネルギーを凝縮した言葉に自分の願いを込めて差し伸べてくる。 そして、この本の構成が良く練られているのも感じる。各選者が予め本を推薦する前に、それぞれの教養書が紡いでくれた世界観に礼を言うかのように語る4ページの存在が良い。このたった4ページだが、教養書の描く世界に浸るという行為がそれぞれの行為者の中で思いもよらぬ輝きを放ち、方向性と力を与えてくれる予感が漂っている。そして、本の初めに『読書』といえばのおふたりの会話が、何気なくこの本を手にとった者を奥へ奥へと引き込んでいく怪しい会話を繰り返していく。 ただ単に専門分野の達人達が教養書を紹介するというのではなく、それぞれが自分が読んできた数ある本の中から、『選りすぐった本』を紹介しているのが伝わってくる。 各選者が『ひとりビブリオバトル』をして本棚に並んだ幾冊の本を闘わせている姿が想像される。そしてそこに勝ち残った準々決勝進出本だ。2年程前に佐々木紀彦氏が書いた『米国製エリートは本当にすごいのか?』という本を読んだことがあるが、その本はそれなりに、アメリカのエリートを想像することに役立ちはしたが、ズシリと読む者に覚悟を迫るもの感じなかった記憶がある。しかし、今回のこの本は見事に素材を結集し、自分の伝えたいメッセージを伝えるためにその素材を最大限に発揮できるようにコーデネートしてある。彼が『教養』に着目するに至った環境とそれを与えた経験が各選者への共感として見事に結実した本だと思う。『News Picks』の編集長としての声はTBSラジオ『荒川強啓デイキャッチ 』金曜日 耳にするだけでしたがこれからも期待したい。＊『ニューズピックアカデミー』も良い発想だと思います。この本の様に関わる人たちのモチベーションを高く維持し続けることが要になると感じています。頑張ってください。