一華後宮料理帖 第十品 (角川ビーンズ文庫)

一華後宮料理帖 第十品 (角川ビーンズ文庫) の詳細

朱西および反皇帝派が祥飛に退位を要求、そして内戦勃発までの十日間が描かれています。朱西の行動は、簒奪を目論んでいるように見せかけながら、やっていることは反皇帝派の名簿作成、謀反の資金調達と称した鳳家の資産の処分。鳳家を滅亡させようとしているかに見えます。黒い小瓶を熒惑から渡された伯礼の真意が明かされます。面白いことは面白いのですが、祥飛が絶体絶命の危機にあるという緊迫感が感じられないんですよね。賞賛レビューが投稿されると思うので、気になった点をいくつか。熒惑は誰か？という謎は、登場人物が少ないのでだいたい予想がついてしまいます。祥飛への退位要求も、宮城に反皇帝派がうちそろって宣言していて、体育館での生徒総会のようなノリです。ここは使者のやりとりで駆け引きの妙を見たいところでした。援軍要請の使者に戸部尚書自ら赴くって、崑国の人材不足はどれだけひどいのでしょう。戸部尚書って、財務や国内行政を司る役所の最高責任者、ようは大臣で、単独行動の密使の任を帯びるには身分が高すぎます。軍事を司る兵部尚書は登場していませんし。次巻で完結だそうなので、読んでよかったと思える結末を期待しています。